ロー●ン○○店 side サスケ 外れにあるその店は、これで5店舗目にカウントされる。 青い店のロゴをビニールに見せつけて、肩に背負い直しては袋の中身がずれ込んだ。 重そうなビニールの中には、黄色がちらほらと伺い見える。 まだ幼さの残る「それ」はゴクリと緊張を飲み込んだ。 もはや5軒目である、何をいうまでもない。 決心していたのであろう、足は既に固いコンクリートを蹴っていた。 自動ドアが開いて、涼しげな風が吹くと、口が思わず緩みそうになった。 が、ポーカーフェイスの「それ」は無への変換を怠らず、店に踏み入った。 迷うことなく慎重に視線を配れば、目当てはレジの前。 ご丁寧に並ばれた「そいつら」を臆することなく、入口で掴んだカゴへとぶち込んでいく。 毎度のごとく繰り返すその行為は、「あれ」へのあからさまな嫌がらせに他ならない。 しかしだ、残されたものは「それ」のものだけで、思わず舌打ちが漏れることは承知のことでもある。 なにが楽しくて「あれ」を買ってしまうのかが問題なんじゃない。 これは足りないものを補充しているのに過ぎないのだ。 取っていないものだから、つまりは仕方のないことである。 そう、仕方のないことだ。 買う回数は名前を呼ぶ代わりではない。 あくまでも買い占めるのは嫌がらせであり、 決して寂しさを紛らわすものなんかじゃないということを念頭においてもらいたい。 愛情表現なんてくそったれだ。 ただこれだけはいっておくが、 と「それ」は最後に己の中で付け足した。 甘いものは嫌いだ。 だが、扱いが分からないだけで苦手なだけなんだ、と。 >NEXT ナルトside ロー●ン○○店 side ナルト 意気揚々と店に走り込めば、きょろきょろと見渡す目玉。 それらしき枠組みを見つければ、レジ前に止まる視線。 にやりと思わず笑う顔を引き締めることなく、よっしゃーと漏れる声。 気合いと共に走らされる足が棚の前に運ばれる。 あ、と短くあげられた声はにやけたままの顔で発せられていた。 それは予想だにしない現実を受け入れられない表情で、頭皮から思わず汗が流れそうになった。 まだ引っ越したばかりで、生活感のない部屋のように殺風景なそこ。 がらんとしたスペースにはキャンペーンのお菓子が…並んでいるハズだった。 それともまだ並べていないのだろうか、売れてしまったのだろうか。 そこには置いた形跡すら怪しまれる始末で、ない頭で考えようと無駄な気がしていた。 在庫だ、在庫はあるのか否か。 先走った足がレジに振り向いた。 どこにあるのかと尋ねた先には己ではない「あれ」のもの。 何の嫌がらせかとまじまじと見ても変わらない「あれ」のもの。 うなだれてみても結局は伸ばすその手。 結局買ってしまうその手に嫉妬しながら、カゴに放り込む。 有り金全部叩く必要性はどこにあったかなんて、今更のことである。 今更といえば、また手の上で踊らされてはいないだろうか、と不安にもなる。 まぁでもあれだ。これは気付かないふりをしているだけだ。 立派な演技力のある手の動きに相違ない。 こんな仕掛けも面白いな、とでも思ってやる。 苦手なものに挑戦するなんて相変わらずのクセもんだとも思う。 辛いものは平気だ。 むしろ慣れている。 だけど一言言うのならば、 ヒリヒリすんのは心なのかもなって。 パッケージを袋から眺めて、鼻を鳴らしてみる。 ちょっとばかし偉そうに呟いてみたけど、離れているのは事実で。 やきもきするのはお互いなんだって思わされるような気がする。 でも、ちっとは「あれ」を近くに感じるのは嬉しいと素直に思える、かもしれない。 つまらんくてすみません^^