お星さまのように レニ×アーシェ←セイジュ から セイジュ×アーシェ←レニ に最終的になるお話です。 セイジュは訳あって、猫でアーシェのペットです。 現代パロで皆人間設定。 都合良くレニとアーシェはお金持ちの家庭で暮らしています。 (というのを裏サイトにおいてました) アーシェ視点です。 ふと見れば、そこにはオレンジ色が広がって、暖かい色に染まるお空。 とっても綺麗なのに、それだけ時が経ったのを思い知らされると、少し残念。 はぁ…と小さくため息をついて、オレンジ色に染まった教室へ戻る足。 「終わったのか?」 優しい声が聞こえて、遅れて顔をあげればブルーの瞳。 お空のオレンジに染められて、ブルーがちらちらとグリーンに見える。 なんだかお星さまみたいにきらきら光ってるみたい。 「うん。…待っててくれたの?」 瞳の色があまりにも綺麗で、見つめすぎちゃったのかも…。 レニが赤い顔になってるもの。 「あ…」 「帰るぞ。」 謝ろうと思ったら、ぶっきらぼうに顔を背けてどんどん先へ行ってしまう。 もう…待っててくれたんじゃないの!? 遠くに行った背中に悪態をつけて、慌ててカバンを持って追いかける。 顔を覗き込むように隣に駆け寄った時には、もうレニは平然とした顔をしていた。 遅いぞ…なんてぶっきらぼうに言うくせに手は優しく握ってくれる…。 そんなことされたらドキドキしちゃうのに…。 レニ…私のことどう思ってるんだろう…。 でかける想いを心の箱にこっそりしまって。 鍵をしめて、気づかなかったフリをして…結局は手を握り返しちゃう。 だって…心地いいんだもん。 最近の私たちは、ふざけあったり、他愛もないおしゃべりをして…手をつないで… それぞれのお家に帰っていくのが日課なんだ。 「ただいまー!」 家に帰ると、ばあやが部屋着を持って駆け寄ってくる。 そして私の大切なあの子の足音が聞こえてくる…。 「おかえり、アーシェ…」 ちょっと青がかかった尻尾に耳が生えた、可愛い私の猫ちゃん。 今日も私のあげたお星さまの首輪を大事につけてくれてる。 「セイジュ…!」 ぎゅっ…と抱き合う私たち。 この子は…ううん、背丈は私より大きいし…そうだなぁ… レニみたいに立派な男の子。 偶然私がお庭に倒れているのを見つけて、介抱してあげたのだけど… 自分の名前以外覚えていないし、とても珍しい耳と尻尾が生えていて…お外には出せないの。 お父様がお外に出したらひどい目にあわされちゃうって教えてくれた。 耳や尻尾があったって関係ないじゃない… こんなに綺麗な毛並みを私が汚させたりしないんだから! 私が守るからってお願いして…ペットってことで傍に置いてるんだけど…。 こんなに大きくて、しかも男の子だから…ペットとは違うドキドキ感で焦ることもしばしばあったりして…。 「アーシェ…僕、さびしかったよ…君に会えなくて…」 セイジュは淋しい瞳でいつものように私に頬ずりして言った。 小さく笑ったその顔が可愛くて…でもどこか切なくて胸がきゅっとなっちゃう。 よしよしと柔らかい髪を撫でてあげれば、セイジュは気持ちよさそうに目を細めて、私に回した腕を緩めてくれた。 けれどそれは一瞬で、緩んだ腕は深く抱きしめてくる。 「セ、…セイジュ…!」 やっぱりまだ慣れないよ。胸からドキドキが飛び出ちゃいそう。 押し返そうと腕をつっぱろうとしたけど、セイジュの顔が私の首元に沈む。 「…ん…」 くんくんと匂いを嗅ぐ、触れるか触れないかのくすぐったさに息がもれる。 「くすぐったいよ…もう…セイジュったら…」 冗談めかして言ってみても、セイジュの顔が見えなくて…少し怖い。 だって何を考えているかわからないんだもの… 黙っていたらセイジュの手が私の手を掴んできた。 ぺろ… 「??」 匂いの元を見つけたかのように、嗅いでは舐めを繰り返す。 いつもと違う可愛い舐め方じゃなくて、なにか…念入りに塗りこまれるような、舐め方。 猫じゃなくて…男の人の… 「…どうしたの…?そんなに食い入るように見て…」 舐めながら無感情な目だけを向けて、セイジュが言った。 「そっ…そんな私…!」 あれ…私…今何考えてたの…!? 急に顔がほてって、掴まれていない手を押し当てて冷やそうとしてみる。 わたわたとしてる私に、意地悪な笑みを浮かべてセイジュは囁いた。 「…何を…考えてたの…?」 ゆらゆらと尻尾を揺らして、舌を押しつけるセイジュの顔は少しだけ寂しそうに見えた… ようだったけど…瞳は真剣で…何かを探るようだった。 「だ…だってセイジュが…舐め、てくるから・・・」 その言葉が聞こえないかのように、セイジュは無表情に舐め続けた。 それからずっと私を見上げてくる。 何を求めているの?私に何を言ってほしかったの? すぐに終わるかと思ったそれは、中々終わらなくて…。 ちっとも離す気もそらす気もないみたい。 私が答えをあげられなくて、怒ってるのかな…。 「セイジュ…一体どうしたの…?」 聞かれて初めて気づいたのか、目が一瞬泳いで…それからまた見上げてくる。 「ちゃんと…、…て」 「え?」 それはとても小さな子のように、欲しがるものをお願いするように、 呟かれた言葉。 「僕だけを見て…」 今にも零れそうな瞳の雫が見えて、私から隠すように抱きつくセイジュ。 泣いちゃったのかな?何か怖かったことでもあったのかな? 声を掛けても動かないのは、涙を隠しているから…? 「…セイジュ、大丈夫だよ、私がそばにいるから。…ね?」 柔らかい青色の混じった耳を撫でて、お母様のようにつぶやいてあげる。 そうしたら、きっと気持ち良くなって怖いこと忘れられるよね。 繰り返し、繰り返し撫でてあげれば、目の前にニコニコのセイジュの顔。 「柔らかいよね」 笑顔で返そうとしたら意外な言葉。 頭にはてなマークを乗せて傾けて見せれば、意地悪に笑う顔。 「君で寝たらすごく寝心地が良さそう」 「!…私はおふとんじゃないよ!!」 なんだか私だけ勘違いしてたみたい…? いつものようにじゃれるセイジュは、いつもの台詞をついた。 「ずっと一緒だよ、アーシェ…」 セイジュはどうしてあんなことをいったのかな… 昨日はずっと駄々をこねる子供のようにひっついて離れなかった。 でも朝起きた時にはいつも通りだったから、私の思い過ごしなのかな…? 「セイジュ…寂しいのかな…」 いつも一緒にいるのに…なにがいけないのかな… いくら考えたって答えが出てこない。 どうしたらいいのかな… 「誰が寂しいんだって?」 「・・・え?」 「アーシェ」 呼ばれた先には青色の瞳。 近づいてくるのをぼんやりと眺めていたのも束の間。 「!」 小さい音が口元から鳴った。 気づいた時には目の前に漆黒のまつ毛。 「れ…レ…ぅ」 唇からレニの名前をこぼしかけて、すくわれる。 深く深く波に流されて頭がぼぅっとしていく。 レニといるのは好き。 だってレニは私のことをいつも大切にしてくれる。 「オレと一緒にいるときに、考え事か?」 心配そうでどこか嫉妬した目で訴えてくる。 そんなレニが、酷く愛おしいと思った。 そうだ…今はお昼休み。 お弁当を食べてる途中だった… 「…ううん、ちょっと寝不足なだけ…」 「大丈夫か…?」 目をこすると、レニは優しく髪を撫でてくれた。 それがあまりにも気持ちよくて、私はまぶたを閉じて寄りかかった。 レニといると心地いい。 だって何も考えなくたっていいの。 頭を撫でてくれる気持ちよさでそんなことを思った。 「アーシェ、聞いてくれ」 「ん…なぁに…?」 うとうとしていた私の体をぎゅっと抱きしめて、レニは囁いてくる。 あ、セイジュみたい…。 首元に顔を埋めて、心配そうにこちらを伺う顔が浮かぶよう。 「…ずっと好きだった」 「!!?」 はっとして見上げるその顔は、ちょっと怖い顔。 レニはいつも不器用で無愛想。 だけど、待って。どうして? その言葉はそんな顔をしていうものなの? 「それって…どういう、こと…?」 瞬間眉間のしわが寄った顔。 いけない、私余計なことを言ってしまったの? 「今も好きだ。だが…」 そこで切られた言葉にゾッとした。 レニ…どうしたの?私の心はうるさく鳴り続けてる… 「愛してるんだ」 ドクンと心が鳴った。 その時初めてレニの顔がりんごのように赤くなって…横へ目が逸らされる。 「まだオレ達、つきあってもいない・・だろ?だから…」 徐々に弱々しくなる声。 でも離さない腕。 「…っぷ…」 「な、なんだ!?」 矛盾したその様子に私はたまらなく愛しくなった。 背中に腕をまわして、ほっぺにキスを贈った。 「私も好き。…あのね、お願いがあるの…」 私、レニを不安にさせてたんだ。 ごめんなさい。自信家の貴方が怖がるなんて… 甘えてるだけの私でごめんなさい…。 小さく息を吸って、レニを見つめた。 「私とつきあってください…」 返事の代わりに二度目の唇が降ってきた。 10.3.13 最新